債務整理について(ご説明)

債務整理とは債務の減少・免除を受けることで経済状況の改善を図り、生活の再建を目指すための手続です。重要な点は、①債務を追った原因の改善、そして、②その債務の減少・免除を受けて経済的再生をすることです。
そして法的な手続にあたっては、免責や債務の減額に向けて適切な申し立てをする必要があります。債務問題の解決は、「過払金の回収」や「債務をゼロに」など、聞こえのよい言葉だけで語れるものでは決してありません。

債務整理の不適切事例について

近時、債務者の方と面談をせずに過払金の回収だけを受任し、根柢の債務の問題を残したまま過払金業務だけを手掛けて終わりとしてしまう事案が見られます(弁護士には本来、債務整理に先立って依頼者の方と個別に面談をすることが義務付けられています。)。
また、受任後も速やかに着手せず、法的な手続の適切な時点での申し立てを怠って破産財団の逸失や否認行為、免責不許可事由を生じさせるケースがあります。

破産手続の申立てにおいて申立代理人がすべきことは、破産財団の保全と速やかな申立て、その後の破産管財人への引継ぎです。破産財団の増殖作業(換価、回収)は破産管財人の業務であり、申立代理人がそこに不適切な関与をして報酬を取ることはすべきではありません。また、破産申立てにおいては、資産の保全や破産手続開始後に管財人の側でどのような業務が必要となるかの検討が不可欠ですが、それを怠って申し立てをして報酬を得、その後は管財人に丸投げするような不適切な事例が見られ、破産裁判所や管財人弁護士から問題が指摘されています。

(当事務所が考える適切な債務整理の成功事例はこちらです)

適切な債務整理手続に向けて

債務整理の依頼者の方を「お客様」と表現し、大々的に「債務をゼロに」と広告をして誘われることは、債務者の方にとってこころよく思えるものかもしれません。しかし、債務を負った原因に浪費や不適切な債務負担行為があれば、それを改善する必要がありますし、破産免責となって債務がなくなるということは、その反面、債権者の正当な権利を犠牲にするものでもありますから、債権者の平等や公正な手続に配慮して進める必要があります。

このようなプロセスを経て経済的更生を図ることで、初めて問題の抜本的な解決と、その後の豊かな生活につながります。当事務所における債務整理の考え方につきましては、末尾の「債務整理の成功事例」をご参照ください。

法律相談

一般の個人の方の場合、簡単で差し支えありませんので、相談時に大まかな債務状況の一覧表(債権者、債務の金額を表にしたもの)と、家計簿などをお持ちください。

もし裁判所から訴訟や支払督促、差し押さえの連絡が来ている場合は、訴状や差押決定をお持ちください。債権者から請求書や督促状が来ている場合は直近の請求書などをお持ちください。

個人事業者の方の場合は税務申告の書類を、会社の場合には経営状況が分かる会計帳簿、売掛金一覧、債務と資産の一覧表などをお持ちください。

受任から解決までの流れ

大まかな流れは、次のとおりです。
①法律相談 → (②-1(通常事案)方針の説明、受任 ②-2(緊急性がある事案)方針を保留しつつ介入通知を発したのち、正式受任) → ③債務調査(過払金がある場合には引き直し計算) → ④時効援用、税金などの先行支払い → ⑤最終的な方針の確定 → ⑥支払い不能な場合は、法的整理(破産または再生申立) → ⑦免責決定、再生計画認可

まず①「法律相談」でお話をお聞きし、次に②「費用や方針の説明」をします。緊急性がある場合には、介入通知を先行して発することで債権者からの請求を停止します。大まかな方針を立てて受任し、利息制限を超える取引に関しては引き直し計算を行ったうえで過払い金の回収を、時効が成立しているものは時効の援用を行います(これで積極財産と消極財産が確定し、正式な方針を立てることになります。)。
債務整理中は原則として支払いを停止しますが、税金など一部の債務は支払いを行うこともあります。一通りの③「債務調査」と過払い金の回収が終わった段階で、⑤「最終的な方針を確定」します。
その後、⑥「債務状況に応じ、破産や再生といった法的手続を選択」します。⑦破産手続の場合は「免責」が得られることを目指し、再生の場合は「再生計画」に従った弁済を行います。

ご依頼時の費用

事業規模、個人か、法人か、任意整理か、破産(同時廃止事件か管財事件か)・再生(住宅ローン特則の利用の有無等)申立ての事案かによります。

大まかな目安としましては、個人の破産事件の場合、着手金は20万円及び税(報酬はなし)で、実費3万円程度が必要となります。一定の資産があり、管財事件に該当する場合には予納金として20万円が別途必要となります。個別の事案でどうかは、ご相談時にお尋ねください。

債務整理の成功事例

事例:-Problem
依頼者の方は、パートタイム労働に従事する兼業主婦の方です。夫名義の自宅に家族で住み、依頼者の方自身が夫の住宅ローンの連帯保証人になっています。ご本人の負債は約400万ととても返済することはできない状況でしたが、旦那さんの方は住宅ローン以外に債務はなく、借入先の金融機関との融資の契約も保証人が破産したからといって自宅を失うような契約にはなっていませんでした。とはいえ、このままでは依頼者の方の債務が家計を圧迫し、いずれ旦那さんの住宅ローンの返済にも影響が出かねないことから、方針としては金融機関との関係で他の親族への保証人変更の手続を進めつつ、できるだけ早期の破産申立てをすることとしました。

経過:-Process
このように破産手続に向けて進めることとしましたが、依頼者の方はなかなか約束の面談に来ていただけず、お願いした家計簿などの作成や提出もありません。着手から半年が過ぎ、当事務所の方には、一部の債権者の方から今後どうするつもりなのかと問い合わせが入るようになりました。
速やかに依頼者の方と面談し、債務整理を進めるご意思があるのかどうかの確認をさせて頂き、その際、債権者の権利に十分に配慮すべきことなどご説明申し上げました。依頼者の方からは、その後は手続を第一にしたご対応をいただけるようになり、ほどなく破産申立てを行って債務整理の目的を達しました。

結果:-Result
その後すぐに、ある出来事が起きます。それは、依頼者の方が交通事故に遭ったことです。この方は、債務整理の手続中、所有していた自動車を担保権実行により引き上げられており、ご親族から借りた車に自分で保険を付けて乗っていました。債務整理の手続に際して保険証券の写しをご提出いただいており、この保険には弁護士費用特約が付されていたことを知っていたので、引き続き交通事故事件として当事務所でお力添えをしました。
結果として相当額の損害賠償金の獲得があり、依頼者の方としてはそれをご自分のお手元に残してよいのか、信じられなかったようですが、既に債務整理の目的は達しており、手元に残す法的な権利がありました。
この方がもし、適切な時点で債務整理を考えなかったら、住宅ローンの支払いに支障が出て自宅を失っていた可能性があります。また、債権者に配慮せず、速やかな申し立てに向けた対応を怠っていたとしたら、その後の事故による補償を手元に残すことはできず、それを弁済にあてなければならなかったことでしょう。

債務を負うに至った背景と向き合い、適切な時期に、債権者の権利に配慮した適切な申し立てを行うこと。それがひいては債務者の方の経済的な更生につながります。