在宅事件と身柄事件

刑事事件は、被疑者段階の身柄の拘束の有無で分けることができ、逮捕・勾留されていない事件は「在宅事件」と、逮捕・勾留されて警察署の留置施設や拘置所にいる事件を「身柄事件」と呼ばれます。問題となるのは、在宅事件ではあるものの、今後、逮捕・勾留の可能性が見込まれる事案での事前の対応、逮捕・勾留となった場合の身柄の釈放に向けた対応です。

日本では取り調べに弁護人の立ち合いが認められていませんが、法律に詳しくない被疑者の方に供述内容が適正かどうか判断するのは無理でしょう。実際、自白が問題となる事件の全ては、被疑者の方がその時良かれと思って署名・押印をした調書が後になって真意でないと争われるものですから、身柄事件の緊急性は高いといえます。

勾留の回避に向けた活動、勾留決定や勾留延長に対する準抗告

逮捕後にすべきことは、まず勾留の回避に向けた活動で、これは被疑者の親族の方々の協力を得ながら行います。身元の引き受けの見込みや被害者がいる場合には被害者対応の状況を明らかにし、家族や勤め先との関係などを整え、在宅事件とするように検察官と交渉し、勾留決定をしないよう裁判所に求めます。
逮捕から72時間でこのような対応をすることは非常に困難ではありますが、奏功すれば速やかに釈放となります。こういった活動は偶発的な事件に向き、組織的で計画的捜査が行われて逮捕・勾留となった場合にはあまり向きません。

勾留となった場合には、その勾留決定を争い、接見禁止や勾留延長に対する不服申し立てとして準抗告という手続を取ることができます。

受任から解決までの流れ

大まかな流れは、次のとおりです。起訴前と起訴後で弁護人としての活動が分かれます。

(起訴前)
①逮捕・勾留 → ②初回接見 → (依頼がある場合)③受任 → ④捜査弁護 → 不起訴・略式起訴の場合は終了
(起訴後)
①公判準備 → ②方針決定 → ③公判弁護 → ④判決

まず、①「逮捕・勾留」をきっかけにしてご家族から相談を受けることが通常ですが、在宅事件の場合は捜査段階からご相談いただくことが望ましいといえます。その後、②警察署に「接見」に赴き、ご本人からお話を伺ったうえで、③依頼があれば「受任」し、④「捜査段階の弁護活動(被害者の方との示談交渉、接見を利用した取り調べに対する防御活動、身柄の釈放に向けた手続)」に着手します。その結果、不起訴、処分保留、または罰金で釈放となれば、原則として終了となります。
これに対して、①「起訴(公判請求)」された場合には、②検察官の開示証拠を検討し、「方針を決定」します。それから、③「公判段階の弁護(示談交渉や、保釈請求、裁判の立会、弁論など)」を行い、④「判決」までかかわります。

ご依頼時の費用

着手金・報酬金

捜査段階の弁護活動は、概ね着手金として20万円程度、不起訴となった場合は報酬として同じく20万円程度となります。
公判段階は事案の重大さ、見込まれる処分、被害者の数、保釈など付随手続などを考慮し、適切な金額で決定しています。

少年事件について

少年事件の場合、捜査段階は概ね成人事件と同様ですが、その後の手続が家庭裁判所の送致となるため次のとおり異なった流れとなります。

(家裁送致後)
①身柄が少年鑑別所に送られる → ②付添人活動 →③方針決定 ④審判立ち会い → ⑤審判

まず、①「家裁送致」により警察署から少年鑑別所に移動となり、②新たに付添人(刑事裁判における弁護人に相当)として「付添活動(社会復帰を見据えた環境調整、審判での弁護活動)」を行います。③家裁で記録を閲覧したうえで「方針を決定」し、④「少年審判」で付添人として少年の立場から活動し、⑤「審判」までかかわります。

成年の刑事事件と少年の非行事件とは、手続も対応方法も全く異なります。未成年の可塑性の点から、非行の改善も重要な視点です。

※ 観護措置が取られた少年事件の場合、少年を申込者として日弁連の委託事業(援助制度)を利用すれば、事実上自己負担なく付添人を選任することが可能です。少年事件に関しては、このような受任をすれば費用はかからないため、援助が利用できない場合を除いて基本的に全件援助扱いとしています。詳しくはご相談の際にお尋ねください。