固定経費と休業損害

固定経費とは

個人事業主の場合、給与所得者とは異なり、事故で働けなくなっても月々の経費が発生することは本当に悩みの種です。例えば、事務所として借りている建物は、怪我で閉めていたとしても現に賃貸借契約が継続している以上賃料が発生します。よほど人が良い大家さんでない限りは免除してくれないでしょう。
給与所得者の場合には、勤めに出ることができず、それに対応する給与が得られなくなることで休業に伴う損害が発生します。個人事業主の場合には、それに加えて、毎月発生する固定費の収入源がなくなることで追加の損害が発生しているといえます(休業補償の基礎となる個人事業主の所得は既に経費を控除した金額であるため。)。

何が固定経費にあたるか?

固定経費は、休業に関わらず支出がなされる経費の項目です。一概に経費といっても、いろいろありますが、そのうちどこまでが固定経費にあたるかは事業内容と事業形態によると思われます。
例えば、消耗品費は休業に対応して支出も止まるので、通常は、固定費には当たらないと考えられます。地代家賃やリース料、諸会費は、休業に対応することなく支出が続くことが通常ですので多くの場合で固定費に当たると考えられます。
宣伝広告費も、例えば年間契約などで広告を出している場合には、事業の状況に関わらず支出が続くので固定経費にあたる余地があります。

廃業した、あるいは事業再開の可能性がない場合

固定経費は、事業の存続を前提とする支出です。したがって、事業が完全に廃業となった場合や、事業再開の可能性が全くない場合に至っては、固定経費の支出もなくなると考えられるため、固定費を考慮することなく最終的な申告所得を基礎に休業損害が算定されます。
したがって、このような場合には、休業損害の算定にあたって固定経費は補償の対象とはされません。もっとも、廃業に至るまでの間や、廃業とするかどうかの判断に要する期間までは事業再開の可能性があるものとして補償の対象となると考えられます。

裁判例はどうなっているか?

薬局経営者:損害保険料、減価償却費、地代家賃を固定経費として考慮
保険外交員:租税公課、水道光熱費、通信費、損害保険料、修繕費、減価償却費、地代家賃、諸会費、研修費、販売促進費等を固定経費として考慮
歯科医師(開業医):代診医師への給料を含む給与賃金を固定経費として考慮
飲食店経営者:広告宣伝費、損害保険料、修繕費、減価償却費、諸会費、地代家賃、リース料などを固定経費として考慮

まとめ

経費には色々な種類がありますが、そのうち固定経費と認められるのは、休業に関わらず支出がなされる経費の項目です。
そのうちどこまでが固定経費にあたるかは事業内容と事業形態によります。

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