家事従事者(主婦)の休業損害

現実の収入の減少がなくとも認められる

家事従事者には目に見える経済的な収入があるわけではりませんが、事故にあって家事に影響が出た場合には、例え現実の収入がなかったとしても、それによる休業損害が認められます。
この場合、女性の家事従事者(主婦)であれば女性労働者の賃金平均額を基礎にします。例えば、賃金センサス平成28年では年収約376万円換算となり、現実の収入減に関わらず認められやすいことを考えると決して少ない金額ではありません。

家事従事者の定義は?

裁判例では、家事従事者とは、他人のために家事に従事する者とされ、自分のために家事をしている(例えば、独身で一人暮らしの女性)というだけでは認められません。ただ、実質的に見て家事に従事している場合はそれに準じた補償が受けられます。

裁判例で家事従事者と認められているのは、
・専業主婦(専ら家事をしている)
・兼業主婦(家事と短時間労働を兼務している)
・育児休業中
・母子家庭

他人のために家事に従事していればよいため、シングル家庭で子供を育てる親や、配偶者に先立たれた方でも主たる労務がパートタイム労働に止まり、近くに住む子の家事を手伝って孫の世話としているなどの場合には家事従事者と認められる可能性があります。

主婦の休業損害は認められやすい

給与所得者や事業者の休業損害は、現実の収入減があった場合に認められることが原則です。したがって、現実の収入減がない場合には、基本的に休業損害は認められません。
これに対して、主婦の休業損害は、現実の収入減少という金銭的な評価が難しいため、家事労務に影響があった場合には減収があったものとみなされる傾向があります。その性質上経済的な損失がなくとも認められるものであり、しかも、認定されやすいことがポイントです。

家事従事者の休業損害は有利?

本来、休業損害は事故によって生じたマイナスを補てんするものですから、その補償を受けたとしても差し引き0にしかなりません。しかし、家事従事者の休業損害はマイナスを観念することなく認められやすい傾向があるため、結果的にプラスの作用をもたらす側面があります。
家事従事性がある場合は、給与所得者でも主婦の休業損害を主張する方が補償が充実することは少なくありません。

例えば、
年収250万円の女性で、家事従事していない方(Aさん)が80日通院した場合と、同じ年収250万円の女性で家事従事している兼業主婦の方(Bさん)が80日通院した場合とでは、事故による欠勤がなかった場合の補償の額は倍くらい違います。
Aさんには休業損害はなかったとされますが、家事従事しているBさんは年収370万円程度を基礎に、通院日数分は家事労務に影響があったとみてその分の休業補償が受けられるためです。

家事従事者の休業損害(主婦休損)の算定

主婦であれば女性労働者の賃金平均額を基礎にします。高齢者の場合には、年齢別の賃金平均を用います。概ね年収300~370万円程度となり、1日当たりに平均すると9000円前後となります。
計算方法は、通院期間を基礎にして100%、75%、50%、25%と、段階的に割合を乗じる方法と、通院実日数に1日当たりの金額(約9000円)を乗じる方法があります。
例えば、50日通院した場合、9000円×50日で45万円と計算できます。

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